In the Rough

読み物 / 2026-10-05

開いていたのは、高く上がるクラブほどだった

TrackMan

秋葉原の PING で採寸してきました。出てきた答えは、ライ角を1度アップライトにすること。帰ってから自分の743球を打ち出し角の順に並べ直したら、フェースの開きも同じ順に並んでいました。PW が +4.55°、ドライバーが +0.30°です。

この記事の数字

+4.55°PW のフェース角 中央値184球・20回
+0.30°ドライバーのフェース角 中央値89球・11回
0.93打ち出し角とフェースの開きの相関フルショット5番手

ここまで30回、右に出る球をずっと数えてきました。握りを戻したり、準備の球数を増やしたり、振り幅を半分にしたり。どれも自分で思いついたことで、どれも数字を動かしませんでした。Day 29 からは、外の基準が入るまで7番は測るだけ、と決めていたところです。

その外の基準が、この日に来ました。

もらった仕様は、ライ角だけが標準から外れていた

測ってもらって出てきたのは、アイアン9本ぶんの仕様です。中身を書き出すと、こうなります。

項目出てきた仕様
ヘッドG740(スチール)
番手50°・56°・5番・6番・7番・8番・9番・PW・UW の9本
ロフト標準
ライ角1度アップライト
シャフトN.S.PRO 950GH neo(S)
長さ標準
バランス標準
グリップ標準のもの・下巻き1枚

並べてみて気づいたのは、標準から外れているのが1項目しかないことでした。長さも、バランスも、ロフトも、下巻きの枚数まで標準です。動いているのはライ角だけ。

9本で ¥287,100(税込)。単価は税抜 ¥29,000 です。

金額のほうは、まあ、そういうものかという感じです。それより、1項目だけ動かされたというのが引っかかりました。ライ角というのは、構えたときにクラブの底が地面に対してどう当たるかの角度です。アップライトにするというのは、ボールが右へ出るのを左へ戻す方向の調整になります。

つまり、30回ぶん右に出続けていた話と、同じところを指しています。でも自分の数字でそれを確かめたことは一度もありませんでした。クラブのほうは、疑う対象に入れていなかったので。

自分の球を、高く上がる順に並べ直す

ライ角のずれが効いているなら、出方には決まった形があります。同じだけライ角がずれていても、ロフトの大きいクラブほどフェースの向きは大きく振られる。縦の角度が横に化けるぶんが増えるからです。

ロフトそのものは手元の記録に残っていないので、代わりに打ち出し角を使いました。高く上がるクラブほどロフトが大きい、という置き換えです。番手ごとに中央値を出して、高い順に並べます。

クラブ球数打ち出し角 中央値フェース角 中央値開いていた球
PW18431.6°+4.55°90%
9番アイアン10026.4°+2.55°67%
7番アイアン34920.6°+2.80°69%
3番ユーティリティ2116.2°+1.00°62%
ドライバー8915.4°+0.30°51%

上から下へ、きれいに減っていきます。9番と7番だけ 0.25° ぶん順番が入れ替わっていますが、それ以外は打ち出し角の順そのままでした。相関は 0.93 です。

端と端の差がいちばんはっきりしています。PW は20回のうち20回とも、その日の中央値がプラス側でした。ドライバーは11回のうち6回。こちらはほぼ半々で、向きの偏りがありません。

50°のウェッジだけ、この表から外しました。打ち出し角は 31.4° で PW とほぼ同じなのに、フェース角は +0.80° しかありません。ただこれは8ydのアプローチで、ヘッドの速さが他の番手の半分以下です。シャフトのしなりで起きるずれは速さがないと出ないので、同じ列には置けないと判断しました。入れたまま計算すると、相関は 0.93 から 0.53 まで落ちます。外した理由を先に書いておきます。

1度で動くのは、0.6°から1.0°

では、1度アップライトにすると、どれくらい戻るのか。ここは計算で出せます。ライ角が1度動いたときにフェースの向きが振られる量は、ロフトの大きさでほぼ決まります。

クラブ1度アップライトで左へ動く量(計算)いまのフェース角 中央値(実測)
PW約 1.0°+4.55°
9番アイアン約 0.9°+2.55°
7番アイアン約 0.6°+2.80°
ドライバー約 0.2°+0.30°

左の列は計算で、実測ではありません。一般的なロフトを当てはめたものなので、1割くらいは動くと思って読んでいます。それでも桁は変わりません。

そして、この大きさがいちばんの問題でした。1度で戻るのは 0.6°から1.0°。いま開いているのは 2.8°から 4.6°です。半分も戻りません。

もっと厳しいのはこちらです。Day 27・Day 28・Day 29 の3回、条件を何も変えずに20球ずつ打って、フェースとパスの差の中央値が +4.00° / +8.30° / +3.70° でした。同じことをやっても、回ごとに5°くらい振れるということです。

1度アップライトで動くのは 0.6〜1.0°。同じ条件で打ったときの回ごとの振れ幅は、約5°。

振れ幅のほうが5倍から8倍、大きい。新しいクラブで1回打って良かったとしても、それはクラブのおかげかどうか分かりません。悪かったときも同じです。

だから、来る前に線を引いておく

ここまでずっと、合格ラインは打つ前に宣言して、打ったあとは動かさない、というやり方でやってきました。今回も同じにします。ただし1回ぶんでは足りないので、線の引き方を変えます。

使えるものが1つあります。今回の見積にドライバーは入っていません。アイアンだけが替わって、ドライバーはそのままです。同じ日に同じ場所で打っているので、ドライバーを物差しにできます。

新しいアイアンで PW を100球ためる。PW とドライバーのフェース角の差が、いまの 4.25° から 3.3°以下に縮んでいるか。1回の練習では見ない。

PW は1度で約 1.0° 戻り、ドライバーは替わらないので動きません。差がちょうど 1.0° ぶん縮むはずで、3.3°というのはそこから引いた数字です。100球は、いまのペースだと8回から10回ぶんになります。

縮んでいなかったら、ライ角の話ではなかったということになります。それはそれで、1つ消せます。

この数え方の限界

4つ書いておきます。

ひとつ。並べたのは5番手ぶんの中央値で、点が5つしかありません。相関 0.93 という数字は、点が5つなら偶然でもそれなりに出ます。強い根拠ではないです。

ふたつ。番手が違えば、ロフトだけでなく長さも振り方も違います。PW とドライバーを比べているのは、クラブを比べているのであって、ロフトだけを比べているわけではありません。

みっつ。743球は30回ぶんの寄せ集めで、途中で握りも振り方も変えています。同じ人の同じ動きとして扱っていますが、厳密ではありません。

よっつ。並び方が合っていることと、ライ角が原因であることは別です。この表が言っているのは「いまそう並んでいる」だけです。替えて測るまでは、そこまでしか言えません。

次の狙い

Next

ドライバーを物差しにして、PW の開きを測る

クラブが届くまでは、何も変えません。いまのアイアンで PW とドライバーの差を取り続けて、替わった前後で同じ切り方で比べます。1回ごとの合否は出しますが、ライ角の話として読むのは100球たまってからにします。

ライ角のせいなのか、振り方のせいなのかは、まだ分けられていない。

出典 仕様は 2026-10-05 に受け取った採寸の控えから、クラブの中身にあたる項目だけを書き出しました。数字はすべて自分の TrackMan 実測です。表に使ったのは、採点の対象にしている球のうち、フェースの向き・クラブの通り道・打ち出し角の3つが揃っていてキャリーが5yd以上あった743球(50°ウェッジの99球を除く)。フェース角はフェースとパスの差にクラブの通り道を足して出しています。中央値はクラブごと、「開いていた球」はフェース角がプラスだった球の割合。相関はピアソンの積率相関係数で、打ち出し角の正接とフェース角の中央値を番手ごとに5点とって計算しました。1度あたりの変化量は一般的なロフトから出した計算値で、実測ではありません。回ごとの振れ幅は Day 27・Day 28・Day 29 の3回、条件を変えずに打った20球ずつの中央値から。計測エラーとした球と、集計の対象外にしている球は入れていません。球数が15球に満たない番手は表から外しました。測ったデータは全部 データ に置いています。