In the Rough

第1回

「旅を調べる」も「旅で調べる」も、検索から対話に変わった

2026年7月19日から8月17日まで、11都市をまわりました。この旅のあいだ、Google 検索を開いていません。行く前に調べることも、現地で調べることも、その場で AI に聞く形に変わっていました。使ったのは ChatGPT と Claude Cowork の2つです。

2026-08-30熊谷将一郎約5分

生活に AI を入れると何ができるか、を試している記録です。この旅が起点で、ここで分かったやり方をいま ゴルフ に当てています。

11都市ドーハからバンコクまで
302026-07-19 〜 08-17
3通りつないだ通信手段+ Wi-Fi だけの区間

ドーハ → ウィーン → グリンデルワルト → アムステルダム → パリ → ロンドン → マドリード → サンセバスティアン → モルディブ → クアラルンプール → バンコク

マドリードのグランビア通り。左右に石造りの建物が続き、正面に丸屋根が見える
マドリード、グランビア。この30日でまわった11都市のうちの1つです。

「旅を調べる」と「旅で調べる」は別のこと

行く前に調べることと、現地で調べることは、分けたほうがいい。これが今回いちばん大きかったところです。

「旅を調べる」は、行く前。どこへ行くか、どう回るか、何を予約するか。これは前からネットでやっていました。

「旅で調べる」は、現地。いま目の前で困っていることを解く。ここが今回、完全に変わりました。

サンセバスティアン旧市街の細い路地。両側に建物が迫り、奥へ一直線に伸びている
サンセバスティアンの旧市街。この路地の真ん中で「今ここからの観光スポットは?」と聞けるようになった、という話です。

変わったのは、位置情報とつながったから

検索窓に打ち込むのではなく、いる場所を前提にして話しかける形になりました。実際に投げていたのは、こういうことです。

現地で実際に投げていた質問
今ここからの観光スポットは?
この800m圏内にある飲食店で、評価の高いお店の予約取って
飛行機のゲートまでの行き方は?

検索は「探す」。対話は「決めて、動く」。同じ情報でも、返ってくる形が違いました。

3つ目が効いたのは、ゲートが変更になったときでした。掲示を追いかけて空港の構造を把握し直すところを、いる場所から新しいゲートまでの行き方として1回で返ってきます。落ち着いて調べる余裕がいちばん無い場面が、いちばん助かりました。

木のテーブルに置かれたピンチョスの皿。生ハムと葉物が重なっている
800m圏内で探して、絞って、ここまでは来られます。止まるのは最後のひと押しだけでした。

予約まで頼めたのは、LINE か WhatsApp の店だけ

800m の質問には続きがあります。「予約取って」まで通ったのは、LINE か WhatsApp で予約を受けている店でした。

電話しか受けていない店、自前の予約システムしかない店は、そこで止まります。探すところまでは全部できて、最後のひと押しだけができない。この線引きが、思っていたよりはっきりしていました。

AI に予約まで頼めた店と、頼めなかった店 「この800m圏内にある飲食店で、評価の高いお店の予約取って」 探す 絞る 予約する LINE・WhatsApp で予約を受けている店 電話のみ・自前の予約システムの店 ✓ 予約まで通った ✕ ここで止まる
探して絞るところまでは、どの店でも同じように進みました。分かれるのは最後のひと押しだけです。この図は本文で書いたとおりの結果で、店舗数は数えていません。

逆に言えば、店側が LINE か WhatsApp を開けているかどうかが、そのまま「AI 経由で客が取れるか」の分かれ目になっているということでもあります。

飛行機の窓から見下ろしたモルディブの環礁。青い海に島とリーフが浮かぶ
モルディブ。アジアのプランにもヨーロッパのプランにも入っていませんでした。行程を組む段階では見えていなかった「圏の切れ目」です。

いちばん重要になったのは、通信環境の確保

ここは対価だと思っています。ネットにつながっていないと、何も始まりません。紙の地図やガイドブックを持っていた頃は、通信が切れても旅は続きました。いまは切れた時点で止まります。

30日を、3通りでつなぎました。

この旅でつないだ通信
手段区間備考
ahamo15日間そのまま持って出られる
物理SIMヨーロッパ 10日間現地で差し替え
Airalo(eSIM)最後のアジア滞在クアラルンプール・バンコク側をフォロー
ホテル・空港の Wi-Fiモルディブアジア圏でもヨーロッパ圏でもなく、どのプランからも外れた

いちばん苦労したのはモルディブです。アジアのプランにも、ヨーロッパのプランにも入っていません。結果としてはホテルと空港の Wi-Fi でしのげましたが、「圏の切れ目」に落ちる場所があるというのは、行程を組む段階では見えていませんでした。

効かなかったこと — 一般的な情報では差がつかない

「子ども連れで楽しめるプラン」「女性に人気の過ごし方」——この種のものは、もうかなり一般的な情報になっています。誰が聞いても似た答えが返ってきます。

つまり AI に聞いて出てくる情報そのものには、差がありません。差がつくのは、そこに載っていない情報のほうです。行ってみないと分からないこと、実際に払った額、うまくいかなかった判断。

一面の星空。天の川が斜めに横切っている
この30日で撮った写真の整理も渡しました。「覚えておく」の部分を、まとめて外に置いた感覚です。

写真とチケットの管理も渡した

行程だけではありませんでした。撮った写真の整理、チケットの管理。持ち物のうち「覚えておく」の部分を、まとめて渡した感覚です。

ここからゴルフに持ち込んだのは、1つだけ

1か月やってみて、AI がいちばん得意なのは「情報を集めて、プランにすること」だと分かりました。判断そのものではなく、判断の材料を揃えて並べるところ。

帰ってきてから、それをそのままゴルフの練習プランに当てています。何を何球打つか、どこを合格ラインにするか。旅で行程を組ませたのと、やっていることは同じです。

違うのは、ゴルフには数字が残ることでした。旅は「良かった」で終われますが、練習は当たったか外れたかが後から分かります。いま 1589球ぶん 出しています。

旅先で、最後に Google 検索を開いたのはいつですか。

あなたはどうしていますか

出典都市数と日程は、この旅の写真の記録から。質問文・通信手段・予約の可否は当時の実際のやり方

使ったものChatGPT/Claude Cowork/ahamo/物理SIM/Airalo

書いていないこと同行者、宿泊先、支出額、予約番号

最終更新2026-08-30