In the Rough

読み物 / 2026-09-15

打ち出す方向の8割はフェースの向きだった。1257球で確かめる

TrackMan

この記事の数字

78%打ち出し方向に占めるフェースの向きDay 17・74球
0.858フェースとパスの差と曲がり幅の相関7番アイアン 338球
1.36yd7番アイアンが1°あたり曲がる量PW は 0.09yd

ボールがどこへ出てどう曲がるかは、フェースの向きとクラブの通り道で決まる——と説明されています。計測機を売っている TrackMan の解説にも、打ち出し方向を決める最も大事な数字はフェースの向きで、フェースとパスの差が曲がりを生む、と書かれています。

ここまでは読めば分かる話です。知りたいのは、それが自分の球でも同じ比率で成り立つのかどうかでした。手元に1257球あるので、数えてみます。

打ち出す方向は、フェースの向きが8割

打ち出した方向を、フェースの向きとクラブの通り道の2つで説明できるか。両方が記録されている Day 17 の74球で計算しました。

打ち出し方向 = フェースの向き × 0.80 + パス × 0.22。フェースの寄与は 78%。

フェースの向き単体との相関は 0.988 でした。パス単体では 0.301 です。同じ74球を番手ごとに分けると、ウェッジで 70%、PW で 88%、9番で 94%、7番で 76%、ドライバーで 100%。球数が少ない番手は振れますが、どれもフェース側が大きいことは変わりません。

クラブ球数フェースの寄与
50°ウェッジ670%
PW1988%
9番アイアン1094%
7番アイアン3376%
ドライバー6100%

「振り出す方向を変えれば真っ直ぐ行く」という直し方は、この数字だと効率が悪いことになります。8割を持っているほうを先に触ったほうが早い。

曲がるかどうかは、フェースとパスの差

次は曲がりです。フェースの向きとパスの差を「フェース対パス」と呼びます。この差と、実際に曲がった幅の関係を、両方が残っている975球で見ます。

クラブ球数キャリー 中央値相関1°あたりの曲がり幅
50°ウェッジ728.5yd0.3350.00yd
PW41846.3yd0.4400.09yd
9番アイアン20113.3yd0.8960.83yd
7番アイアン338130.4yd0.8581.36yd
ドライバー104191.4yd0.4851.79yd

7番アイアンの 0.858 と9番の 0.896 は、かなり強い関係です。7番の曲がり幅は、フェースとパスの差だけでだいたい説明がついてしまいます。1°開くごとに 1.36yd ずつ曲がる、という読み方になります。

ウェッジと PW で相関が低いのは、関係が無いからではなく曲がり幅がほぼゼロだからです。中央値で 0.0yd と 0.8yd しか曲がっていないところでは、計測のばらつきのほうが大きくなります。ドライバーの 0.485 は、打点のずれが別の曲がりを足しているぶんだと思いますが、これは数字では分けられていません。

同じだけ開いても、飛ぶクラブほど曲がる

上の表は「1°あたり」が番手で13倍ちがいます。ただ、フェースの開き方そのものが番手で違っている可能性があります。そこでフェース対パスが 4〜8° の球だけを取り出して、番手ごとに並べました。開き具合をそろえた比較です。

クラブ球数キャリー 中央値曲がり幅 中央値キャリーに対する比
50°ウェッジ318.6yd0.0yd0.0%
PW17344.6yd0.9yd2.0%
7番アイアン130129.6yd7.8yd6.0%
ドライバー35183.0yd11.4yd6.2%

同じだけフェースが開いていても、PW は 0.9yd、7番は 7.8yd でした。9倍ちがいます。距離で割った比で見ても 2.0% と 6.0% で、単に飛んでいるからではありません。

ロフトが寝ているクラブは縦回転が多く、横に効く成分が薄まる、という説明がつく形です。7番とドライバーは比で見ると 6.0% と 6.2% で、ほぼ同じでした。曲がりやすさが上がりきるのは、7番より手前ということになります。

Day 16 で、9番 2.8yd と7番 11.0yd のあいだに段差があるように見えました。この4段の表で見ると、段差というより PW と7番のあいだで一段上がって、そこから先は横ばいです。次の日の Day 17 では9番のほうが7番より曲がっていて、1日ぶんの数字では順番が入れ替わりました。

では、何を直すことになるか

3つを並べると、順番が決まります。打ち出す方向の8割はフェース。曲がり幅もフェースとパスの差。そして7番はその差が 1° 増えるごとに 1.36yd 曲がる。

Day 17 の7番アイアン本番8球は、フェース対パスの中央値が +5.5°。±3° に入ったのは8球中2球。

+5.5° を 1.36yd/° に当てはめると 7.5yd です。実際の曲がり幅の中央値は 4.8yd でした。近い数字が出ています。ここを ±3° に収められれば、計算上は 4yd ほどに収まることになります。

フェースの向きは、手の形が直接効くところです。今日、グリップを少し握りやすい形に変えたら振れ幅が減った感覚がありました。ただしまだ測っていません。次の回で、前のグリップ10球と新しいグリップ10球を続けて打ち、打つ前に線を宣言して確かめます。

この数え方の限界

3つ書いておきます。

ひとつ。975球は17回ぶんの寄せ集めで、スイングは途中で変わっています。同じ人の同じ動きとして扱っていますが、厳密ではありません。

ふたつ。相関が高いことと、原因であることは別です。フェースを閉じたら曲がりが減るかどうかは、実際に変えて測るまで分かりません。上の表は「いまそうなっている」だけを言っています。

みっつ。9番アイアンは20球しかありません。相関 0.896 は数字としては高く出ていますが、この球数では動きます。

次の狙い

Next

フェース対パスを、曲がり幅より先に見る

曲がり幅は結果で、フェース対パスは原因側です。同じ10球でも、角度のほうが先に動きます。次の回から、7番アイアンの合格ラインはフェース対パスを先頭に置きます。グリップの前後比較も、まずここで見ます。

レッスンで言われたことを、自分の計測データで数え直したことはありますか。合っていた場合も、外れていた場合も、次に何を直すかが変わると思います。

あなたはどうしていますか
出典 数字はすべて自分の TrackMan 実測から計算しています。打ち出し方向の内訳は Day 17 の74球(フェースの向き・パス・打ち出し方向の3つが揃い、キャリー5yd以上の球)を最小二乗で当てはめたもの。曲がりの表は、フェース対パスと曲がり幅の両方が残っている975球。「曲がり幅」は打ち出した方向からの横のズレで、左右の値とは別に記録されているものです。相関はピアソンの積率相関係数、1°あたりの曲がり幅は回帰直線の傾き。計測エラーとした球と、集計対象外にしている球は入れていません。球数が15球に満たない番手は表から外しています。ボールの飛び方の一般的な説明は TrackMan の解説を参照しましたが、この記事に出てくる比率と係数はすべて自分の球から出したものです。測ったデータは全部 データ に置いています。